2006年04月08日

授業料免除と奨学金がなかったら…

私は11歳のときに両親の離婚を経験している.
父親の借金が原因だったものの,幸いにして借金の取立てには遭わずに済んだ.
別居のための小学校の転校以来,私の教育費は常に社会によって支えられてきた.
小学校のときは給食費などの集金(転校先の学校は口座振込みへ移行しておらず,児童が集金袋に現金を入れて学校に持っていっていた)のときに持っていく金額がまわりの子よりも少ないことで実感していたし,高校でも普通の生徒ならほとんど用のない事務室に授業料免除の書類を提出するために何度も通っていた.

そのことが恥ずかしいと思ったことは一度もなかった.

母は,私にまともな大人になって少しでも世の中の役にたてるように願っていた.
母は,父に対する恨み節をひとつこぼすことがなかった.また,私も深く詮索することがはばかられたので,当時は事情を詳しくは知らないまま,当時の生活環境を自然なものとして受け入れていた.ただひたすら,母に感謝していた.

そんな家計の状況で大学に行けるかもわからなかったものの,当時の高校の担任は三者面談で大学進学の際の金銭面での心配をぶつけた我ら親子に「Kammy+君なら大丈夫でしょう.」と言ってくれた.心配していてもはじまらないので,とにかく国立大学を目指すことにした.

結果,無事親に余計な出費をさせることなく国立大学に入学したものの,国立大学の授業料すら払うこともできない状況.幸いにして某企業が社会活動の一環として行っている奨学金制度の奨学生に選ばれ,日本育英会の貸与も受けたけれど,一番の拠りどころは授業料免除だった.そして宿舎費わずか3,000円(当時)の大学の学生寮に入れたことで,人並みかむしろそれ以上と思えるほどの大学生活を送ることができた.

大学院に進めば育英会から借りられる金額も増えることから,あとは自分が働いて返すことができるだろうということで,大学を卒業するときには既に大学で行けるところまで行ってみようと決意していた.大学院に進むと母の収入も増え,授業料免除は半額免除を経て,最終的には免除がかからなくなっていた.
「社会が僕に投資してくれるなら,それに応えるまでのこと」
そんな気分だったし,今でもそれは私のポリシーだ.

だから私は奨学金で学ぶ後輩達を,強く応援したい.
そして,少しでも奨学金制度がよい形で継続されることを切に願っている.

しかしどうも今,国はよからぬ方向に動いているような気がしてならない.
不景気で授業料の払えない学生・生徒が増えても,それに見合う税金の投入をしなかったように思われる.国の借金を減らすためか,大学も,育英会も法人化してしまった.
育英会は名を変え,卒業後の特別返還免除の対象をどんどん狭めていった.研究を行う公務員か大学教員となって15年間勤めることで返還免除となる制度もちょうど私の学年までで廃止(大学学部での免除規定は全廃)し,「大学院において第一種奨学金の貸与を受けた学生であって、在学中に特に優れた業績をあげた者」が奨学生の死亡・心身の障害を除くと唯一の免除対象となってしまった(解釈に間違いがあったらご指摘ください).しかもその在学中の優れた業績とは「学問分野での顕著な成果や発明・発見のほか、専攻分野に関する文化・芸術・スポーツにおけるめざましい活躍、ボランティア等での顕著な社会貢献」が対象と,あまりに即物的すぎやしないかと感じずにはいられない.
大学も,法人化してまず始めたことは授業料未納者への退学処分の基準を明文化だったし.その代わりに創設するのは支援機構同様「何か大学にプラスになることをした人物」を対象とするような制度ばかりが目に付く.授業料免除のための国の予算が増えないために免除基準は一層厳しくなり,このままじゃ大学は「超貧乏か中流以上」しか通えないところになってしまうんじゃないだろうか.
日本は学生を育てることを放棄し,手柄を立てた者にだけ媚を売るような国になってしまったのかなあ.

せめて次の世代には少しでもよい教育環境を残せるよう,今後も努力していきたいと思う.
posted by Kammy+ at 22:05| ☁| Comment(1) | TrackBack(0) | 考える | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
私も奨学金には、大分助けられました。でも、問題点もたくさんあると感じています。
ということで、こんな活動を始めました。
ぜひ、ご覧になってください。
「北海道に奨学金制度を創りたい!」http://takeandgive.kitaguni.tv/
Posted by リカ at 2006年11月22日 14:37
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